●山岳民族の現在●
山地民は独自の文化・伝統を守りながら、長い間、山岳地帯で焼畑農業による自給自足の生活を営んできました。
しかし今、彼らの生活は急変しています。
ここ30年の間に彼らの生活の基盤であった山々が、タイ国森林保護地区や国立公園に指定されてしまい、彼らは伝統的な自給自足農業の生活様式を捨て、タイ社会の中での低賃金労働をせざるを得なくなっています。今では、昔ながらの農業だけでは毎日の食事ですら十分でないのが現状です。
こうして町での労働を余儀なくされた山地民ですが、雇用者によってきちんとした報酬が与えられるわけではありません。国民証がないことやタイ語、現代タイ社会の知識が十分でないことによって、彼らは度々搾取され騙されています。
特に少女たちは、土木工事等の肉体労働に就けず、短時間で多くの収入を得ることのできる性を売る仕事へと足を踏み入れてしまう場合が多く、彼女たちは家族を支えるためエイズと隣り合わせの生活を送っています。
さらに、今では町へ出ずとも彼らには危険が付きまといます。
それは小奇麗なスーツに身を隠した人身売買業者が、村内にも度々顔を出すことです。
「町にあるお菓子を作る工場で働かないか?」「積み荷降ろしだけで高収入だぞ」と甘い言葉で
村人に仕事を持ちかけますが、実際には監禁され売春宿で働かされたり、麻薬の入った積荷の仕事であったり、利用され殺されてしまった場合が多く存在しています。
彼らは言います。「私達には学歴がないので仕事がない。子供たちには学校に行かせ、自分と同じ人生を歩んでほしくないと思っている。しかし子供たちを学校に行かせる十分なお金もないのだ。」
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